「等身大のカバー」をお伝えすることにフォーカスしたオウンドメディア・COVERedge(カバレッジ)。このたび、ホロライブプロダクションを応援してくださっている皆様全体に向けて、谷郷元昭CEOのインタビューをお届けします。今回は、谷郷CEOが見ているこれまで、今、そして未来について聞きました。
急拡大、急成長、その裏で
――今回、このような形でCOVERedgeに登場するに至った背景を教えてください。
まず、世界中の皆さんがホロライブプロダクションの存在を日々の活力にしてくださっていることへの感謝をお伝えしたいです。同時に近年、直近においても会社のサポートが行き届いていないんじゃないか、と不安に思われるような事案も様々起きている状況もあり、その点については経営の責任者として深く、重く受け止めております。
会社の急成長に伴い上場を果たしてからまもなく3年、会社を取り巻く状況は日々目まぐるしく変化し、それらは必ずしも予測の範囲に収まっているものではありませんでした。予想外な事態への対応遅れをコミュニティ上で感じている皆さんに「このままでは自分たちの大切な居場所がなくなるんじゃないか」というご不安を感じさせてしまっていることを、痛感しております。
こういった状況に対して、我々はもちろんこれまで対応を重ねていましたが、そのプロセスの可視化やご意見へのアンサーが出せておらず、かつ自分自身も、会社自体が大きくなる中で会社と自分個人の切り分けに悩み、その結果として感情や想いを表に出すことを控えるようにしてきました。
ですが、たとえ一方通行であるとしても、皆さんが求めていることや期待していることを受け止め、全力で応えていくという嘘偽りのないメッセージ、「生身の言葉」を伝える場が必要だと実感しました。それは、カバーという会社の経営者であると同時に、ホロライブプロダクションという素晴らしい場を愛するファンとして、メッセージを求められていると感じています。
もちろん現状が抱える問題全てをあけすけにできるわけではありません。「今更ではないか」という厳しいお声も当然のことと受け止めています。それでも、たとえ時間がかかっても、改善していかなければならないと強く心に刻み、まずは自分からこの場を借りて始めていきたい。そんな思いで臨んでいます。
今回はカバー株式会社の代表として、ホロライブプロダクションを守っていくために私が考えていることをみなさまに、お伝えできればと思っています。

――会社の変化や現状はどのように感じていますか?
第一に会社を取り巻く環境として、創業当初の自分が想像もしていなかったほど、VTuberという存在は大きくなっていることを実感しています。それは、単に会社が大きくなったということではなく、多くの活動するタレントやファンの皆さんも含めて、VTuberという活動を支えてくださる輪に、多くの方が参加してくださっていることであると思っています。そのような中、我々は事業を通じてさらに多くの方に楽しんでいただくため、VTuber 事業を中心としながらも、関連する事業にも積極的に挑戦しています。その挑戦の一つが、様々な事業の内製化でした。
――ホロライブプロダクションは様々な事業を自社内で展開しています。その理由はなんでしょうか?
一部事業を挙げての説明になりますが、たとえば音楽事業ではタレントから「オリジナル曲をつくりたい」と声が上がったとき、他社レーベルの力を借りるとなると、実現できるかはレーベルがそのタレントに興味を持ってくださるかどうかにかかっています。こうした外部のご判断に制限されることなく、自社タレントの意欲や可能性を最大化していくためには、自社内のレーベルでサポートしていくことがベストだという判断でもあります。またeコマース(ネット販売)においては、他社ではEC サイトの運営を外注しているケースもあります。我々の場合はファン層が海外にも広がっていた中で、スタート当時は、国内と海外の両方をサポートしていただける会社さんに出会うことができませんでした。当時、双方に対してサービスを提供するためには、自前で対応するのが良いと考えました。
つまり、自社でやることによって可能性を潰すことなく、「タレントの夢」と「ファンの希望」を叶えるための選択でした。しかし同時に、その事業拡大に対して、細部のケアが追いつかない状況が生まれてしまいました。
――いずれの事業も、「理想」を追求したゆえの挑戦であったものの、一方で予想を超える「重さ」を生み出した部分もあったと。
おそらく「『タレントの夢』と『ファンの希望』を叶えるための選択」と言うと、そんなことないじゃないか、というふうに感じられる方もいらっしゃると思っています。実際に、各事業において大小さまざまなミスが発生している側面もあり、本来の目的と矛盾してしまっている面もあることは否めません。手を拡げていった結果、やれることも増えたのですが、かえって本来の目的であった「期待に応える」ことと矛盾する結果も招いてしまっている。この事実を猛省し、今一度、地に足をつけて向き合う覚悟です。
修正するべきことは常にあります。それを発見し改善し後に繋げ、理想に近づけることを日々行っています。なかなか公表が難しいのですが、お客様の声には引き続き真摯な姿勢で耳を傾けてまいります。ただ、現状を冷静に見直すべきフェーズに来ていることは間違いないので、これまでの展開を見直しながら、軌道修正を図っていくことを内外にお伝えしています。
タレントサポートについて
――ここ1年ほど面談やお茶会など、タレントとのコミュニケーションの機会を設けてきました。
タレントから生の声をうかがって、やりたいことに沿って、それぞれの専門部署と連携をして実現に向けて動いていくという取り組みにもつなげてきました。ただ、残念ながらいまだタレントの期待に応えられていない部分も多々あり、非常に申し訳ない思いがあります。いただいた改善要望についても去年から着手はしているものの、引き続き問題が起きている状況の中で、はっきり申し上げて1年前よりも、タレントやユーザー様からの信頼は下がっていると受け止めております。
特にこの1年は起きた問題について、事後的に対応することで精一杯になっていました。今後は起こり得る問題の予防も見据え、より根本的な対応に取り組んでいく所存です。そういった意味では先程申し上げた通りで、今やっていることを見直すという、一歩立ち止まって考えていくことも必要だと考えています。

――「組織は大きくなっても、タレントの負担は増すばかりだ」という懸念の声も届いています。
今もこれからも私たちはタレントに向き合っていくことに変わりはありません。しかしながら、タレントの想いをキャッチアップする速度と、会社のケアの速度が一致せず、結果として過度な負担と心配を強いてしまっている側面がありました。
タレントの本分である配信活動や心身の健康を損なうことは、私たちの本意ではありません。今、求められているのは、単なるマネジメントではなく、タレントが数年後も笑顔でステージに立ち続けられるための「セーフティネット」であり、活動に余裕を生むための「伴走者」であるべきだと思い直しています。タレントが安心して活動を休んだり、自分のペースを調整したりできる環境を守る。それが巡り巡って、ファンの皆さんに「最高の体験」を長く届け続けることに繋がると信じています。
――そうすることで、タレントにとって理想的な活動環境を提供していくことにもつながるということですね。
ホロライブプロダクションが本当に大きな存在になったおかげでたくさんのチャンスを得ることができましたが、自分たちでまかなえる適正な事業規模を意識していかないと、タレントにも社員にも無理が発生してしまいます。今一度冷静に状況を見つめて、取るべき対応を取っていく必要があると思っています。
たとえば、タレントには活動を気にせず自由な休息も取ってもらうこともその一つです。それは人によりタイミングや期間はそれぞれです。活動が止まることに不安を覚えることもあるかもしれませんが、ファンの皆さんにも、どうか快く送り出して、帰ってきたら暖かく迎えてあげていただきたいと思います。
カバーのこれから
――ホロライブプロダクションを取り巻く状況の中、タレントのみならず社員もさまざまな思いを抱えていると思いますが。
社員一人ひとりの葛藤や苦労を、私がすべて代弁することは到底できません。しかし、日々全力を尽くしてくれている彼らがいるからこそ、今のホロライブプロダクションがある。そのことへの感謝は片時も忘れたことはありません。
先ほどまで、タレントのサポートにおける不備・不足について話してきましたが、これまで話してきたことはそのまま社員への過度な負荷にも直結していました。社員が「より良い体験を提供する」という本来の仕事に誇りを持って、安心して集中できる環境を整えきれていなかったことは、私の責任です。今後は組織の歪みを是正し、現場の社員がしっかりと前を向ける体制を構築していきます。
――具体的な改善施策については現時点の言及が難しいと思いますが、今後もなんらかの形で、改善の進捗などを発表する予定はありますか?
私からのメッセージは、今後も折に触れて発信していく予定です。それを通して、ホロライブプロダクションを応援してくださっている社内外の方々に対し、活動の内容や進捗について説明する機会としていけたらと思っています。
――今時点で、何か成果が出ている部分はありますか?
誹謗中傷への対応については、より深い対応ができるようになったと思っています。
日々寄せられる皆さんからの通報に目を凝らしながら、一つひとつの事例に対して毅然とした態度で対処を進めています。それは単なる対策に留まらず、傷ついたタレント、そして社員たちの心のケアもセットで行っています。
決して黙って見ているわけではありません。ただ、法的措置はどうしても時間がかかってしまいます。本当は「今、ここまでやってます!」とすぐにお伝えして安心させたいのですが、手の内を見せると相手に対策されてしまうこともある。この「言いたいけれど、言えない」というもどかしさは、私たちも本当に苦しいです。
けれど、これだけは知っておいてください。
対策の力は、年々確実に強くなっています。水面下で未然に防いだり、解決したりした事例も、着実に増えてきました。私たちはこれからも、大切な場所を静かに、けれど力強く守り続けるために尽力します。
ファンの皆さんも、会社から具体的説明がないままだと想像を働かせる他ないことは理解できます。ただ断片的な情報から想像を働かせてしまうと、事実よりも良くない方向へ想像が膨らんでしまうかもしれません。それを避けるには、子細な情報公開が理想的かもしれませんが、誹謗中傷を繰り返す相手がいるために明らかにできないこともご理解いただければと思います。こちらについても対策は強化しており、一定の成果も出ています。
――最後に、これから控えている大型イベントや、未来を楽しみに待っている方々へメッセージをお願いします。
私たちが今取り組んでいる、一見すると「立ち止まる」ようにも見える構造改革のすべては、その先にある「最高の体験」を皆さんに届けるためにあります。
間もなく、心待ちにされている「hololive SUPER EXPO & hololive fes.」、私たちにとって最も大切な祭典の季節がやってきます。それは、タレントとファンの皆さんが一堂に会し、この文化が持つ熱量を全身で感じられる唯一無二の場所です。
私たちが描く未来は、現実とバーチャルが溶け合い、誰もが笑顔になれる新しい絆の形です。それを体現できる場を徐々に増やしていきたい。
これからのホロライブプロダクションが、さらなる進化を遂げ、皆さんに新しい驚きと感動をお届けすることを、私自身も皆さんと共に、心から楽しみにしています。そして、私たちが挑む「その先」の景色を、皆さんと一緒に見に行けることを約束します。
これからも、ホロライブプロダクションをよろしくお願いいたします。
